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生きる場センターのブログです。


by ikiruba

戦争時の障害者

今から25年ほど前にご本人から聞いた話なのですが、

戦時中、その障害者の方は東京で家族と暮らしていました。

空襲がはげしくなっていった頃、町内会長さんが家に来て
その方のお母さんに、「もう少し空襲がひどくなったら
これを娘さんに飲ませなさい」と牛乳瓶に入った農薬を
置いていったそうです。

空襲がひどくなれば逃げられない重度の障害をもつその方は
焼け死ぬしかないのだから、その前に農薬を飲ませてしまいなさい
ということでした。

幸いなことに、お母さんがその方に農薬を飲ませることもなく
戦争が終わりました。

平時であれば町内会長さんも農薬を持ってきたりしなかった
でしょう。しかし戦時下では常識では考えられないようなことが
起こりえるのです。

戦後、生き延びたその方は介護者を自分で確保しアパートで
一人暮らしをするようになりました。東京の鉄道に車いすでも
乗れるよう粘り強い運動を続けた方でもあります。

戦争で殺されなかったからこそ出来た人生だと思います。

(職員 タナカ)
by ikiruba | 2010-08-20 13:55 | 今日のひとこと。 | Comments(0)